ちょっと深堀りシリーズではジャズの偉大なミュージシャンを、入門編から少し掘り下げます!超有名テイクから、晩年までのスタイルの変化、また個人的に好きなテイクもYouTube付きでご紹介します!
ソニー・ロリンズ Sonny Rollins
ソニー・ロリンズは1950年代から活躍し、2017年に引退したものの、2024年現在もご存命のテナーサックス奏者です。
一番有名なテイクは何と言ってもこれ!
『サキソフォン・コロッサス』(Saxophone Colossus)(1956年) に収録された、<セント・トーマス>(St. Thomas) です!
この曲は彼の代表曲となり、今後ライブなどで引退まで何度も演奏することになります。
同アルバムに収録の<モリタート>(Moritat) も有名です!
スタイルの変化、ピアノレストリオ
1957年、ロリンズはピアノなしのサックス、ベース、ドラムのトリオ編成を好むようになります。
ロリンズ初のライブアルバム、『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』(A Night At The “Village Vanguard” )に収録の<チュニジアの夜>(A Night In Tunisia) を聴いてみましょう!
余談ですが、この作品はアメリカのジャズクラブ、“ヴィレッジ・ヴァンガード” での初のライブ録音で、このあとピアノのビル・エヴァンスやサックスのジョン・コルトレーンをはじめ、多くの偉人の名演がライブアルバムとして記録されています。サブスクなどで”at The Village Vanguard” で検索すると数多くの作品がヒットします。老舗ジャズクラブでのライブ録音にハズレなし!(たぶん)
急な引退、そして再開~フリー・ジャズ期~
1950年代の末、ロリンズは人気絶頂の中、突然引退します。
そして1961年11月に活動を再開。引退中ウィリアムズバーグ橋の下でずっと練習をしていたことにちなんで、『橋』(The Bridge)というタイトルのアルバムを発表しました。
程なくして、当時活動初期だったフリー・ジャズのパイオニア、オーネット・コールマンの音楽に興味を持ち、ロリンズもフリー・ジャズのコンセプトを取り入れるようになります。
『アワ・マン・イン・ジャズ』(Our Man In Jazz)(1962年)には、オーネット・コールマンの相棒トランぺッター、ドン・チェリーとの前衛的なライブ演奏が収録されています。
今までのロリンズのイメージとは異なる、ハーモニーからの解放を試みたアグレッシヴな演奏になっています。
ハッピーなスタイル、カリプソ
ロリンズのフリー・ジャズ期は数年で終わり、元の歌心溢れるスタイルに戻ります。
1969年にもう一度活動を停止し、1972年に再開します。
再開してからはどんどんハッピーなスタイルになっていき、特に『サキソフォン・コロッサス』に収録された<セント・トーマス>の曲調、カリプソを取り入れた楽曲を多く演奏するようになります。
このスタイルは2017年の引退まで続きました。
個人的に好きなロリンズ
さて、ここからは個人的な趣味です!
1950年代の末の引退の直前に発表されたアルバム『コンテンポラリー・リーダーズ』(Sonny Rollins and the Contemporary Leaders)(1959年)をご紹介します!
全てにおいてゴキゲンかつ歌心、遊び心に溢れており、当時のジャズの中で出来ること全てやり尽くし、行くところまで行ってしまったような、そんな印象を受けます。
この限界を突破する為にこの直後に引退し、練習に没頭したのではないでしょうか(僕の妄想)。
再開後、フリー・ジャズに興味を持つのも自然な流れだったのかもしれませんね。
ちなみにこの曲、実は“マツコの知らない世界” で使われている曲と同じです!
こんな豆知識も披露しつつ、今回はここまでにします。
最後までお読みいただきありがとうございました!