良い音でサックスを吹くためには常にアンブシュアと向き合って行く必要があります。
アンブシュアはいろんな人がいろんな方法を使っているため「自分の理想の形を見つけるしか無い」と言われがちですが、本当にそうなのでしょうか?
吹奏楽器奏者の永遠の課題とも言われるアンブシュアについて解説したいと思います。
「良いアンブシュア」は「自分の理想の音がでるアンブシュア」だけど…
結論から言うと、「良いアンブシュア」は「自分の理想の音が出るアンブシュア」ということになります。
「身も蓋も無い回答だ!」と思ってページを閉じるのは少し待って下さい!
「良いアンブシュア」は「自分の理想の音が出るアンブシュア」という根底の考えを理解した上で全ての「アンブシュア」について考えるようにして欲しいのです。
今は良い時代になってサックスに関するたくさんの情報やアドバイスがあります。
アンブシュアも例外では無く、様々な人が様々なことを言っています。
問題はこれらの情報が「誰に対して」「どういう状態になること」を目的としたアドバイスなのか?また「実際にどのような音の変化が起こるのか?」が分からないことが多いのです。
音が出やすいアンブシュアを優先してはいけない
楽器を練習していると陥りがちなのが、「良い音が出るアンブシュア」ではなく「音が出やすいアンブシュア」を優先してしまうことです。
人間の身体は常に楽をすることを考えているため、何も考えずに吹いていると「音を楽に出せる吹き方」にどんどん慣れていってしまいます。
もちろん「音を楽に出せる吹き方」が悪いわけでは無いのですが、良い音が出るアンブシュアで吹くときはある程度身体の筋肉を使う必要があるので、「音を楽に出せる吹き方」だけを延々やっていても良い音が出るようにはならないのです。
まずは「サックス本来の良い音がでるアンブシュア」を目指そう
MUSIC HACKではサックスの構造を理解した「サックス本来の良い音がでるアンブシュア」を良いアンブシュアだと定義しています。サックスの音は、肺から出した一定の圧力(スピード)をもった息がマウスピースとリードの間の狭い隙間を通るときにリードを振動させ、リードがマウスピースに当たる打撃音がネックと楽器本体によって増幅されて出ています。
この一連の流れが、できる限り妨げられることが無く楽器が(特にリードが)振動しているときに、サックス本来の良い音が出ます。
理想の音が分からない初心者の方や、音色を自由に制御することがまだ難しい中級者の方は、まずは「サックス本来の良い音が出るアンブシュア」、つまり振動を妨げないアンブシュアを目指すと良いでしょう。
リードの振動を妨げないアンブシュア
サックスのアンブシュアは下唇を少し巻き込みリードに当てることで、歯が直接リードに当たらないようにクッションを作っていますが、下唇の状態や咥え方が悪いとリードの振動を妨げてしまいます。
リードの振動を妨げていないか、以下の項目をチェックしてみて下さい。
- 下唇を強く噛んでいる
- 下顎に梅干しのようなシワができる
- マウスピースを咥える位置が浅い
- 下顎を強く引いている
下唇を強く噛んでいる
下唇を強く噛むと、リードが自由に振動できないだけでは無く、唇が痛くなり長時間継続して吹けない状態に陥ってしまいます。
強く噛んでしまっている時は、腹式呼吸ができていないことが多いので、きちんと息圧をかけられる腹式呼吸を習得できているか、チェックしてみ駄作太斎。
下顎に梅干しのようなシワができる
下唇を噛むほどでは無いですが、下顎に梅干しのようなシワができている時は、リードの芯(ハートと言います)の部分を強く押さえる力が働いています。
下顎に梅干しのようなシワができるときは、唇の横から息が漏れるのを下から上に向かう力で塞ごうとするのではなく、口の横の部分だけを締めることで息が漏れないようにしましょう。
マウスピースを咥える位置が浅い
マウスピースを咥える位置が浅いと、リードが振動する範囲が狭くなり、詰まった音になりがちです。
咥える位置が深すぎると息をたくさん使うので大変ですが、ある程度の深さにするようにしましょう。
下顎を強く引いている
下顎を手前に引くと、咥える位置が浅いときと同じように詰まった音になりがちです。
下顎を引くことでサブトーン(シャバシャバしたジャズっぽい音)や高音を出さない音(ローバッフルをよく使う奏法)を出すこともできますが、初心者のうちは素直な音(ノーマルトーン)でしっかり太い音を出すようにしましょう。
リードの振動を妨げないで音を出すには息圧が必要
サックスは低い音を出すときと高い音を出すときの口の中の状態は全く違います。
高音の時には速い息(高い息圧)が必要ですし、低音の時には遅い息(低い息圧)が必要です。
息の制御のためには少し特殊な息圧の制御が必要になります。
つまりサックスを上手に吹くためには息圧の制御が重要だと言っても過言ではありません。
まずは息圧をしっかりと制御できるようになりましょう。