この記事は
- これからサックスを始めようと思っている方
- 少し興味があるからいろいろ知りたいと思っている方
のための記事です。
サックスを始めるとき、多くの方が悩みます。
「サックス初心者はどれくらいで上手くなるんだろう…」
「サックスって独学って実際できるの?独学でも上達する?」
「サックス教室ってどこを選べばいいの?」
などです。
もちろん、上達の速度は、
- どれくらい練習時間を取れるのか
- いままで音楽経験はあるのか
- 周りに音楽をやっている人はいるのか
- 部活や楽団に所属しているか
などによって全く変わってきます。
充実したサックスライフのために、ご自身のビジョンを明確にする第一歩として、この記事を活用いただけるとうれしいです!
それではまいりましょう。
サックスはどれくらいで上手くなれる?
これからサックスを始めようと思っていてやはり気になるのは、
「どれぐらいで上達するの?」
「どれくらいで曲が吹けるようになるの?」
と言う疑問ではないでしょうか。
実際どれくらいで上手くなれるのでしょうか?
サックスの上達速度は環境によって4ヶ月〜2年とまちまち
「上手くなる」と言っても人によって定義が様々ですが、今回は、
「うまくなる/上達する=親しい友人や家族に披露して褒めてもらえる」
と定義して回答します。
すると、だいたい以下のようになります。
- 個人教室やオンラインレッスン 4〜6ヶ月
- 大手音楽教室 1年〜1年半
- 独学 1年半〜2年
もちろん過去の音楽経験や練習量の違いなどで個人差はあります。
個人教室やオンラインレッスンが一番速く上達する
最も上達が早いのはズバリ個人教室やオンラインによるレッスンです。
理由は後述しますが、数字にすると大手音楽教室の2.5倍、独学の4倍の速さで上達できる見込みがあります!すごい差ですね。
どうしてこんなに差が出てしまうのでしょうか。
サックスの独学での上達は難しいが可能
サックスを独学で上達する事は可能です。
サックスは音楽教室でも人気の楽器ということもあり、一般に販売されている教材やYouTubeのレッスン動画が多いため、比較的独学でも上達しやすい楽器です。
注意が必要なのは、教材の内容が必ずしも自分に当てはまるわけではないということです。
無料で公開されている教材の多くは一般大衆に向けて発信されているため、どうしても
「〇〇になってしまう人が多いのでこんな方法で改善してみましょう」
という発信の形になってしまいます。
そのため、自分の悩みをピンポイントで解決できるとは限らないのです。
万能の治療薬ではないことを覚えておいてください。
サックスの独学が向いている人もいる
独学で上達するには「今、自分が学ぶべきことは何か?」を常に考えなければいけません。
独学が向いている人の特徴は、答えを与えられるよりも、自らたどり着きたいと考えるタイプの人です。
探究心があり研究熱心で、自ら学び、新しい発見のために努力を惜しまずコツコツと前進できる方は、独学でもある程度上達できるでしょう。
逆に、独学が向いてない人は「的確な答えがほしい」「すぐに直したい」というタイプの人です。
独学とレッスンを受ける場合との違いは上達速度です。
独学でも上手くなれる可能性は大いにありますが、独学はレッスンを受ける場合よりも時間がかかるもの、と心に留めておいてください。
サックスの独学が難しい理由
あなたが独学に向いている場合でも、注意しなければいけない点があります。
これは教室に通う場合との決定的な違いであり、上達を遅くする直接的な原因でもあります。
上達が遅れる状態というのは、
「自分の音が良い音かわからない」
あるいは
「自分の技法が正しい状態なのかわからない」
と言う状態です。
楽器の演奏が上達するということは、良い演奏技術の積み重ねです。
演奏技術を習得する時に大切なのは、以下の3つです。
- 理想の状態を具体的に理解している
- 現状の問題を理解している
- 理想と現実の間を埋める練習方法を理解し、実践する
逆に、独学で上達する時に最も困るのは、以下の3つです。
- どうなれば良いかをイメージできない(理想がわからない)
- 自分に何が不足しているかがわからない(問題がわからない)
- 何を練習すべきかがわからない(練習方法がわからない)
これら全てを自分で解消するのは難しいので、独学での上達が難しいのです。
サックスは音が簡単に出るから独学が難しい
吹奏楽器の中ではサックスは比較的かんたんに音が出る楽器です。
「かっこいいし簡単なら始めてみようかな?」と思う方も少なくないはずです。
しかし、
“簡単に出る音”=”良い音”とは言えません!
「サックスは簡単」の落とし穴ともいえます。
実際サックス歴1年〜3年で「音色を改善したい」、「自分の音が好きじゃない」と教室に習い始める方もいらっしゃいます。
サックスの独学で最も大事なのは「耳」
もし独学でサックスを始めるのであれば「現状の自分の音色」と「出したい理想の音色」とのギャップを聞き取る「耳」を鍛えましょう!
この「耳を鍛える」という意識があれば、独学でもサックスを十分楽しめるでしょう。
耳を鍛えるためには、サックスの演奏をたくさん聴くことです。
ライブで聞いても良いですし、YouTubeやApple Musicなどで探して好きなプレイヤーをたくさん聴くのでも良いです。
この時に、いろんな奏者を聴き比べて、何が違うのか?を具体的に考えてみると耳が鍛えやすくなるのでお勧めです。
サックス教室の選び方
さて、
「自分には独学は難しそうだ」
「少しでも早く上達したい」
「もう吹く予定が決まっている!」
なんて方は一緒に次へ参りましょう。
専門家に習う選択肢は4つあります。
- 対面レッスン
- 大手の音楽教室
- 個人の音楽家
- オンラインレッスン
- Zoomレッスン
- 通信レッスン
それぞれにメリットとデメリットがあります。
あなたが目指すサックスライフを叶えてくれる選択肢を、ぜひ見極めてください。
大手の音楽教室 – マイペースにサックスを続けたい方向け
大手の音楽教室でサックスレッスンを受けるのがおすすめな方は
「マイペースに、趣味としてサックスを吹きたい」
「吹きたい曲が決まっている」
といった方です。
なぜなら、音楽教室でレッスンを受けることで、サックスを吹く習慣が身につくからです。
一方で、大手の音楽教室では速い上達は見込みにくいです。
この辺りのメリットとデメリットを詳しくみていきましょう
大手の音楽教室で習うメリット
大手の音楽教室のメリットは以下の通りです。
- アクセスが良い
- 大手なので安心感がある
- レッスン料が相場価格である
- 先生が多いので合わなかったときに交代できる
特に駅前などアクセスの良い場所にあることが多いので、通いやすさは抜群です。
サックスは比較的大人になってからでも始めやすい楽器ですが、新しく何かを始めるのはエネルギーが要りますよね。
そして、継続するにはさらにエネルギーが必要です。
マイペースに取り組みながら少しずつ上達する時に、駅前やショッピングモールに入っている教室に通えることは、とても良いことです。
独学だと、「始めてみたけど続かなくて、楽器はいつも押し入れの中…」と言うケースも少なくありません。
その点、大手の音楽教室は半ば強制的にレッスンにいかなければいけません。
とにかくレッスンに行けば吹く状態が確保できるのが強みと言えるでしょう。
大手の音楽教室で習うデメリット
大手の音楽教室のデメリットは上達速度が遅いことです。
レッスンを受けているのに上達が遅くなってしまう1番の理由はレッスン時間が短いからです。
ほとんどの音楽教室のレッスン時間は30分か60分が多いのですが、ここでは多くの方が利用している30分のレッスンを想定してみましょう。
時間 | 内容 |
---|---|
12:00 | 楽器を持って入室 |
12:05 | 音出し(5分) |
12:15 | 前回の課題(10分) |
12:25 | 指導と次の課題(10分) |
12:30 | 退出 |
見ていただくとわかりますが、悠長にしている暇はありません。
先生は的確に指導しなければいけませんし、前回の課題ができていなくても、次の課題を出さなければなりません。
なぜなら、次のステップに進まないと生徒さんは退屈して辞めてしまうからです。
限られた時間で指導しなければいけないため、指導方法はフォーマット化されやすく、より一般的なものとなりやすい、と言う問題もあります。
本来ならば質問や観察を繰り返して原因を深く究明た上で改善方法を処方するべきですが、時間の短さゆえにできないのです。
レッスンに通っているのに上達が遅いことは、着実に成長したい人や向上心のある方には辛いかもしれません。
とは言え、通いやすさ、続けやすさの点で魅力があります。
そのため、大手の音楽教室は「とにかくこの曲が吹きたい」「自分のペースでゆっくり上達したい」という方に向いている選択肢なのです。
個人の音楽家 – やるならプロレベルを目指したい方向け
個人の音楽家のにサックスレッスンを受けるのがおすすめな方は、
「とにかく上手になりたい」
「やるからにはプロレベルを目指したい」
という方です。
なぜなら、個人の音楽家はレッスン時間が長めで習いたいことも柔軟に対応してくれることが多いので自分が上達したいことに集中して取り組めることが多いからです。
一方で、個人の音楽家は選択肢が少ないことが多く、特に地方にはレッスンしてくれる個人の音楽家がそもそも居なかったり、東京以外の都市部では音楽家のレベルが大きいことが多いのが現実です。
個人音楽家のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
個人の音楽家に習うメリット
個人の音楽家に習うメリットは以下の通りです
- レッスン時間や内容を柔軟に対応してくれる
- 技術だけでなく音楽家の在り方も学べる
個人の音楽家にレッスンを受けると良くも悪くも人間的な付き合いになる場合が多くなることが1番の魅力です。
レッスンが内容も柔軟で、自分の興味があることを、音楽家の現場の経験や感覚を併せて知れるため、
人によってはハードルが高く感じるかもしれませんが、個人の音楽家にとってレッスンは大事な収入源になっていることが多いため、よほどのことでなければ気持ちよく対応してくれます。
指導者自身の演奏活動との兼ね合いで、レッスンが受けられる地域が都市部に限られる、と言うデメリットが挙げられます。
このほかにも気をつけたい点があります。
1つは、音楽家に専攻があると言うことです。
2つ目は音楽家がいかに演奏が上手くとも指導=コーチングが上手いとは限らないと言う点です。
音楽の専門領域がある
1つ目から見ていきましょう。
音楽家には専攻があり、得意とするジャンルがあります。
例えばジャズをやりたい生徒が、クラシック専攻の先生に習ってしまうとクラシック向きの奏法しか教えられない、といった問題が起こります。門戸を叩く前に、SNSなどで先生の演奏を確認すると、演奏スタイルがわかるかもしれません。ある程度、事前確認が必要になるでしょう。
演奏と指導の技術は別もの
2つ目のコーチング(指導の技術)をみていきます。
演奏が上手い≠コーチングが上手い、という問題でした。
簡単に言うと、演奏に使う脳とコーチングの脳は使う領域が異なるからです。
コーチングでは、
技法などを意識下におき→言語化する
というロジカルな考え方(実際は前頭葉?)をしますが、
これに対して演奏時の脳は、脳全体が同時に複雑に活性化されるという研究結果があります。脳の使い方が全く異なることがわかります。
個人の音楽家を視野に入れる際は、2〜3箇所を体験レッスンなどでお試しすることを強くお勧めします。
先生との相性が合わないことがある
個人の音楽家にレッスンを受けると人間的な付き合いになる場合が多いため、人によってはハードルが高く感じるかもしれませんが、個人の音楽家にとってレッスンは大事な収入源になっていることが多いため、よほどのことでなければ気持ちよく対応してくれます。
生徒と先生の相性は、上達速度に直結します。
例えば、感覚肌の音楽家の指導を受けたとしましょう。
生徒は「もっと順序立てて説明してほしい」と考えている一方で、先生は「やる気が足りない、もっとパッションで」などと考えているかもしれません。
これは極端な例ではありません。
支持する先生にどんな些細な疑問でもすぐ投げかけられる、と言う精神負担の少ない関係性が上達には必要不可欠なのです。
まとめますと、個人の音楽家に習う場合は以下に注意していただきたいです。
・先生の専攻を知る
・演奏とコーチング技術は切り離す
・2〜3箇所試す。相性を優先する
オンラインレッスンで学ぶ
近年急激に普及したオンラインレッスンについてご紹介します。
1番の魅力は、リアルタイムで”憧れのあのプレイヤーに教えてもらえる”ことです。
「習うなら絶対この人!」「よく聞くユーチューバーさんに会ってみたい」といった特定のプレイヤーに強い憧れがある方にお勧めです。
画面越しとは言え、憧れの人と会えることはこれ以上ない楽しみでしょう。自然とサックスもどんどん上達していきそうですよね。
楽しくて夢中になれる、ワクワクして心躍る、といった感情はとてつもない成果を発揮します。ぜひ検討してみてください。
さてオンラインレッスンはどのように進められるのでしょうか。
多くはzoom、LINEなどの音声アプリで行われます。オンラインレッスンではこのようなネット環境が必要です。
サックスを吹ける環境×ネット環境
サックスが吹ける防音室のような環境と、オンラインで通信ができるネット環境が同時に必要と言うことです。
サックスは音量が出てしまう楽器なので、多くの方はご自宅では吹けないかもしれません。移動と準備物のセッティングが必要です。
とはいえ、環境さえ整えれば、憧れのプレイヤーに直接指導をもらえると言う魅力的なレッスン方法です。
(おまけ情報)MUSIC HACKの通信レッスン
まだあまり知られていないレッスン方法ですが、通信と言う選択肢を紹介します。
オンラインとの違いが分かりづらいのですが、通信レッスンはリアルタイムで先生とやりとりしません。
いつも通り練習→スマホのアプリで録音→先生に送る→先生から添削がもらえる、と言うシステムです。
レッスン動画が豊富なため、
楽器の持ち方が分からない初心者さんから、楽団で活躍している上級者まで対応できます。
レベルに応じた映像教材をもとに、できることを増やしていきます。細やかな指導はチャットで行うので教材を送りつけて終わり、というレッスンにはなりません。
通信レッスンに興味がある方はこちらから詳しくご覧になれます。
最後に【レッスンの価値】とは。
いろいろなレッスンの形がありましたね。ご自身に合ったレッスン方法は見つかりましたか。
結論から言いますとレッスンに通う本当の価値とは、
判断基準を与えてくれること、です。
YouTubeなどのレッスン動画にも良質なものはあります。ご自身に必要な情報を取捨選択していければ十分にサックスを楽しむことができます。また、教室に通ってやりたい曲にどんどん取り組むことができて一時的に満足するかもしれません。ですがそれがご自身の想い描いた姿ですか。
レッスンの価値は、生徒さんを満足させることではなく、
できているかを判断する
努力の方向が合っているか判断する
ことなのです。
サックスに限らずどんな楽器にも使うべき筋肉があり、鍛錬によりその筋肉を使えるように育てていきます。(口輪筋や呼吸に使う筋肉)
筋肉は記憶に強く、鍛えれば鍛えるほど使えるようになります。こうして吹けるようになっていくのです。
吹けなかった音が吹けるようになるために、筋肉を育てていると時間がかかります。逆に言えば、時間をかければ吹けるようになります。
この吹けた!と思えるまで、私たちは何度も何度も不安になります。
「やり方が間違っているのだろうか」「この音は本当にできているのだろうか」と悩む時間は鍛錬より辛いものです。
この時に助けになるのが判断基準です。
「できているのか」「方向性は合っているのか」を先生に教えてもらいましょう。
疑問を確認し、不安を解消するから、無心に練習することができます。これは本当に大切なことです。
「できているかわからない」「自分の努力が合っているか不安」こういったマイナスの感情は上達を妨げになります。もったいないことです。すぐに先生に確認しましょう。
先生との相性の良し悪しは、不安要素をすぐに投げかけられるかという点で雲泥の差が生まれます。前述の、相性は上達速度に直結する、という話はここが肝になります。
不安要素を取り除き、正しく多く練習する。このサイクルを生み出すことが、レッスンの価値だといえます。
【レッスンの価値とは】
判断基準を与えること
独学を決意したあなたとしても、教室に通うと決めたあなたとしても、ぜひ【レッスンの価値】という視点を持ち帰っていただきたいと思います。
そして、あなたのやりたい!こうなりたい!と言う気持ちが大切です。ぜひ自己実現に向かって頑張ってください。
次は”サックスを始めるあなたへ、サックスはこんなに違う? 4種類を徹底解説”
最後までお読みくださり、ありがとうございました。次の記事は”サックスを始めるあなたへ、サックスはこんなに違う? 4種類を徹底解説”です。
アルト/テナー/ソプラノ/バリトン
この4つのサックスを解説いたします。
ぜひ併せてお読みください。
ライター:まむまむ(MUSIC HACK サックス受講者)