ジャズ・ポップスの人気バリトンサックス奏者 11選

自分の演奏スタイルを決める時に、大好きなプレイヤーを決めておくことは、とても大事なことです。

今回はジャズ・ポップスのバリトンサックス奏者を、時代やジャンルごとにピックアップしました。

有名なプレイヤーから、それほど知られていないけど重要なプレイヤーまで、アイコンとなるような奏者と音源を集めたので、ぜひ自分の好きなプレイヤー探しに役立ててください。

Harry Carney (Duke Ellington Bigbandのバリトン)

Harry Carney(ハリー・カーネイ)は、「A列車で行こう」で有名なDuke Ellington(デューク・エリントン) Bigbandのバリトンサックス奏者です。
主張しすぎない音色なのに個性を感じる独特な歌い方は同じくDuke Ellington BigbandのJohny Hodges(ジョニー・ホッジス)にも通じるところがあります。

後半の循環呼吸が見どころです。

Gerry Mulligan

Gerry Mulligan(ジェリー・マリガン)はジャズでは最も有名なバリトンサックス奏者の一人です。ジャズのバリトンサックスといえばビッグバンドのイメージが強いですが、コンボ編成(少人数編成)で活躍したバリトン奏者です。

使っているバリトンサックスはConn製で、LowAキーが無いショートベルと呼ばれるタイプのものでConn M12モデルをカスタマイズされたもの、とされています。
一般的なバリトンサックスよりも長さが短いことで、音色が軽快で柔らかいのが特徴です。
Miles Davisのように、かなりのけぞった姿勢で吹くのも印象的です。

余談ですが、Gerry Mulliganが使用していたとされるバリトンサックスがLive Auctioneerに出品されています。

Pepper Adams

Pepper Adams(ペッパー・アダムス)もコンボ編成で活躍したバリトンサックス奏者です。
Gerry Mulliganのメロディアスな演奏とは対照的に、非常に速いテンポの曲で機関銃のようにソロを吹きまくるスタイルが印象的。

音色は、いわゆるバリトンサックスっぽい、高音域の成分が少ない印象で、「こもった」ようにも聞こえますが、低音域はしっかり鳴っているので、かなり迫力のある演奏です。

Sahib Shihab

※ソロは6:16〜

Sahib Shihab(サヒブ・シハブ)はコンボ編成を中心に活動したバリトンサックス奏者で、Thlonious Monk(セロニアス・モンク)やJohn Coltrane (ジョン・コルトレーン)と共演しています。
1940年代はアルトサックス奏者で、Fletcher Henderson(フレッチャー・ヘンダーソン)ビッグバンドのリードアルトを演奏していましたが、1950年台に入ってからバリトンサックスに転向しました。

ジャズ音楽家として初めてイスラム教徒になり、誕生名のEdmund Gregory(エドマンド・グレゴリー)からSahib Shibabに改名しました。

音色は高音域は控えめで、中低域がしっかりしており、いわゆるバリトンサックスらしい印象です。

演奏スタイルも王道なハードバップ的で、ジャズっぽく直球的です。

Gary Smulyan

Gary Smulyan(ゲイリー・スマリアン)はビッグバンドとコンボ編成、どちらの領域でも長年活躍しているプレイヤーで、ジャズの王道とも言える演奏をするのが特徴です。
Vanguard Jazz Orchestra(バンガード・ジャズ・オーケストラ)、Mel Lewis Big Band(メル・ルイス・ビッグバンド)、the Dave Holland Big Band (デイブ・ホランド・ビッグバンド)、Dizzy Gillespie All Star Big Band(ディジー・ガレスピー・オールスター・ビッグバンド)など、超有名なビッグバンドで演奏しています。

音色は高音がしっかり効いていて存在感がありつつも主張しすぎない、真っ直ぐな印象です。
演奏内容も奇抜なことをせず、美味しい音をきっちり押さえつつ、かつ飽きさせない、教科書のようなジャズ的な演奏です。

Pepper Adamsから多大な影響を受けたようで、Pepper Adamsが亡くなった時にPepper Adamsが作曲した曲をレコーディングしたそうです。

Nick Brignola

Nick Brignola(ニック・ブリグノラ)は現代バリトン奏者としては珍しくビッグバンドにほとんど所属せず、コンボ編成で有名だったバリトンサックス奏者です。
音色は高音域が強く、存在感があります。

演奏スタイルはPepper Adamsを彷彿とさせるマシンガンのような印象。
バリトンサックスの他にも、ソプラノサックスやクラリネットも演奏しています。

Ronnie Cuber

Ronnie Cuber(ロニー・キューバ)はジャズというよりも、ラテン音楽に明るいバリトンサックス奏者です。
Mingus Bigband(ミンガス・ビッグバンド)に所属しており、バリトンサックスをフィーチャーした名曲Mornin’が有名です。

音色は高音域がバリバリに効いていて存在感が強く、バリトンの音色のイメージを大きく変えた演奏家の一人で、演奏スタイルも情熱的です。

Stephen “Doc” Kupka (Tower Of Powerのバリトン)

Stephen “Doc” Kupka(ステファン・”ドク”・カプカ)は有名なR&B大所帯バンド「Tower Of Power(タワー・オブ・パワー)」のバリトンサックス奏者です。
ソロでの演奏はほとんどありませんが、力強く印象的なTower Of Powerのホーンセクションに欠かせない存在になっています。

音色は高音域がうっすらとありながら低音域がしっかり効いた、パンチのある印象です。

Leo P

Leo P(レオ・ピー)はYouTubeで一躍有名になったLucky Chops(ラッキー・チョップス)に所属していたバリトンサックス奏者です。
髪の色が赤や青、ファッションも個性的、そして巨大なバリトンサックスを振り回しながら踊る姿は非常に印象的で、バリトンサックス奏者のイメージを大きく変えました。

音色は高音域がバリバリで非常に存在感があり、演奏スタイルもフラジオを多用したり低音と高音を瞬間的に行き来するなど、非常に個性的です。

宮本大路 (熱帯JAZZ楽団 白いバリトンが有名)

宮本大路(みやもと だいろ)は日本の有名なラテンビッグバンド「熱帯JAZZ楽団」に所属していたバリトンサックス奏者です。
音色は高音域がしっかり入っており、個性的でありつつも低音域がよく含まれているバランスの良い音色です。

演奏スタイルはいかにも王道と言えるジャズらしい直線的な印象がありつつ情熱的にもなり、まさしく変幻自在です。
白いバリトンサックスとサングラスが印象的です。

谷中敦 (東京スカパラダイスオーケストラ)

谷中淳(やなか あつし)は東京スカ・パラダイス・オーケストラ(スカパラ)に所属するバリトンサックス奏者です。
音色は高音域が少なめで主張しすぎず、でも存在感があります。

演奏スタイルはジャズというよりロックな雰囲気で、メロディもソロも派手で情熱的です。

ひとこと

バリトンサックスといえば、低音楽器で縁の下の力持ち、のようなイメージを持ちますが、ソロ楽器としても非常に魅力的です。

他の楽器に比べてプレイヤーの数が少ないため、参考にする選択肢が少ないですが、それでも個性的な奏者がたくさんいます。

個人的には変幻自在な宮本大路さんの演奏が印象的でした。

音色や演奏スタイルももちろん、大きな楽器を使った魅せ方まで、色々参考にして理想のプレイヤーを見つけてください!

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