サックスのタンギングはトランペットやフルートなどとは違い、口の中にあるリードに舌をつくことができるため、タンギングする時の舌の位置は非常に自由度が高くなる部分です。
そのため、タンギングの正しい舌の位置がわからない方は意外と多くいます。
舌の位置が正しくないと何が起こるか
サックスだけではなく、吹奏楽器において舌の位置は非常に重要です。
なぜなら、舌の位置が微妙に違うだけで、音色が全然変わってしまうからです。
これは舌の位置以外にも、口の中の形や容積、喉の奥にもいえることです。
吹奏楽器を演奏する多くの方が勘違いしているのですが、演奏しているときに震えているのは楽器だけではありません。
身体も震えているのです。
トンネルの向こう側から叫んだ声が、トンネルの中で反響してこちら側まで聞こえる様に、トンネルのように筒になって閉じた空間を、音は反射しながら進みます。
吹奏楽器を吹いているときは息を楽器の中に入れているわけですから、どの楽器も必ず身体と楽器は筒のようにつながっています。
そのため、音の発信源が口先の唇やリード、歌口の振動でも、実際に鳴っている音は楽器の中の振動だけではなく、必ず身体の中の振動も含まれています。
そのため、身体(口・喉・肺、そして肉体全体)がどのような状態かは、良い音を奏でる上で非常に重要なのです。
タンギングをするときの正しい舌の位置
サックスを吹くときに、舌の位置を普段と変えることはありません。
リラックスしているときと同じように、舌の先端は下の前歯の近くに置いたままです。
この状態はタンギングをつくときも同じです。
舌は下の前歯の近くにあり、舌の中程をほんの少し持ち上げるだけです。
舌の根本からは動かしません。
発音でいうと、「ニ」や「ジ」のように、やわらかく口の中の形があまり変わらないようにして、リードの先端に舌を接触させます。
リードと舌が接触するのは、舌の先端から1cmくらいのところで、ベタっとつけず、線で接触させます。
タンギングの舌の位置で一番変わるのは音の硬さ
先ほど、舌とリードが接触する位置は先端から1cmくらいの所とかきましたが接触する位置が奥(喉側)であれば有るほど、タンギングは硬くなり、ハッキリした音色になります。
逆にリードが接触する位置が舌の先端の方になると、柔らかく、ぬるっとした音色になります。
つまり、舌の位置は音色と非常に関係があるのです。
使い分け方として、例えばハードバップやファンク、フュージョン、ロックなどエッジの立った音楽の場合は舌の奥でタンギングした方がはまりますし、ボサノバやジャズバラードなどは、舌の先端でタンギングをした方が雰囲気に合います。
舌の位置はじっくり直す
正しい舌の位置を初心者が一人で習得するのは非常に難しいです。
舌のどの部分でタンギングするかについては、ちゃんとした指導者が教えてくれないと、変な癖がつきやすいものです。
なぜなら、タンギングをしている時の口の中は当然見ることができませんので、音の微妙な変化や癖を聴き分けて、正確に口の中の状況を把握しながら正しい形にする必要があるからです。
ですが、特にサックス初心者の方に、その変化を自分でわかるのは至難の技です。
自分で吹きながら、音色の変化を聴き取るのは至難の技ですので、録音をして判断するのがおすすめです。
- 舌の位置を少しずつ変えながら吹いたものを録音する
- 録音を聴きながら良い音がする舌の位置に見当をつける
- 見当をつけた位置の周りでまた舌の位置を少しずつ変えながら吹いたものを録音する…
この繰り返しです。
ここで重要なのは、わずかな音の違いを聞き分けようと、集中して録音を聴くことです。
音の違いに気づくことができれば、必ず音色はよくなります。
じっくり、自分の音と向き合いながら、最適な舌の位置を探ってみてください。